バイトからの帰り道、鳩の群れが飛んでいた。
突然

「ドッッ」


という音が聞こえた。
急いで音の方向に向かうと一匹の鳩が道の真ん中に横たわっていた。
車通りの激しくなる時間なので急いでかけより、
歩道の高い所へと移動させた。


口から、血が溢れている。
目も白目を剥いていて、羽も上手くしまえない様子だった。


道の端の比較的安全な位置に移動させて暫らく観察するも
震えて力なく休んでいた。


それ以上何をしたらいいか解らなくなった。
そして鳩をその場に置き、家に帰った。


後は鳩の生命力次第だろう、回復したらまた空へ帰るだろうし
死んでしまったならそれはしかたない。
でも、どうせ死んでしまうならいっそ一思いに車で押しつぶされた
方が痛みになんか耐えずに済んだのかな。
酷いことをしたかもしれない。

家に帰り、同居人にその話をすると猛然とその場所へ向かいだした。
僕も続いた。


鳩は生きていた。
目は黒目に戻り、羽を不器用にたたんでひたすらに震えていた。
血は固まって止まっていたが、
そのせいで片目が異常に腫れていることも見えた。
同居人は鳩の警戒を少しづつ和らげて、抱きかかえて暖めだした。
僕はコンビニに走り、ダンボールとカイロとティッシュを購入した。
簡易保温容器を作り、家までゆっくり、ゆっくり鳩を連れて帰った。


家に帰ると同居人は、より良い環境を作り、鳩の状態を見ることに専念した。
僕は自分に何ができるのかを調べた。
その結果、野鳥を無料で診察&治療、そしてその後、野生に帰せるものは
帰し、帰せないものは里親を探す公共施設を見つけた。
場所はバスで一時間程度の距離だった。


バスの道中も揺れや他のお客に気をつけつつ、鳩を運んだ、運んだ。


野鳥保護センターに着くと職員の方に鳩を渡した。
どうやら鳩は獣医の先生にみてもらえるそうだ。


結果は後日郵送で送られてくるらしい。


A:それをしてなんになるの?
B:自己満足だよ、君と一緒さ。


答えは郵送で。